富士通はドコモの2022-2023年冬春モデルとして「arrows N」を発表しました。
前作「arrows We」はスタンダードモデルでしたが、「arrows N」はカメラ性能と処理能力が強化されたミドルスペックという事になります。
この記事では「arrows N」を実際に購入して、カメラの性能や使用感などを徹底レビューしています。
ドコモ公式サイトで詳細をチェック
arrows N の発売日と本体価格
ドコモ版「arrows N」の発売日は2023年2月10日で、本体価格は税込みで98,780円。
※本体価格は発売日に発表されたものです
ドコモでは24回払いにして「いつでもカエドキプログラム」に加入する事で最安で49,940円になりますが、「いつでもカエドキプログラム」は特典の利用時に購入した本体を2年後にドコモに返却する必要があるので注意して下さい。
arrows N のカラーバリエーション
「arrows N」のカラーバリエーションは、
- フォグホワイト
- フォレストブラック
- ブラッシュネイビー(ドコモオンラインショップ限定)
の3色。
フォグホワイト
フォレストブラック
ブラッシュネイビー
arrows N の外観とデザイン
「arrows N」にはサラサラしたマット調の再生プラスチックが採用されていて、背面には本体上部に左から、
- 広角カメラ
- 超広角カメラ
- モバイルライト
が並んでいて、本体の真ん中あたりに「おサイフケータイ」があります。
ディスプレイ面には画面上部に、
- 受話口
- インカメラ
- 近接センサー/照度センサー
が並んでいて、
右側面には上から
- 音量キー
- 電源キー/指紋センサー
があり、
左側面には何もありません。
本体上部には「SIMカードトレイ」と「サブマイク」。
本体下部には左から、
- スピーカー
- USB Type-C接続端子
- 送話口
が並んでいます。
arrows N のスペック詳細
arrows N のスペック詳細 | |
CPU | Snapdragon 695 |
外側カメラ | 約5,030万画素:広角 約810万画素:超広角 |
内側カメラ | 約1,240万画素 |
ディスプレイ | 約6.24インチフルHD+ 60Hz 有機ELディスプレイ |
RAM | 8GB |
ROM | 128GB |
SDカード | microSDXC(最大1TB) |
電池容量 | 4,600mAh |
高さ×幅×厚さ | 約155x72x8.6(mm) |
重さ | 約171g |
「arrows N」にはクアルコムの「Snapdragon 695」が搭載され、RAMは8GB。
アウトカメラは、
- 広角
- 超広角
という構成のディアルカメラで、広角カメラで使われているイメージセンサーは前作「arrows NX9」よりも1.65倍に大型化し、夜景モードではさらに明るく鮮明に撮れるように進化した新モード「スーパーナイトモード」が搭載されました。
ディスプレイには約6.24インチのフルHD+有機ELディスプレイが採用されていて、電池容量は4,600mAh。
ROMは128GBで、本体重量はこのサイズでは少し重めの171gになっています。
arrows N の便利機能
arrows N の便利機能 | |
テザリング | 〇 |
おサイフケータイ | 〇 |
ワンセグ:フルセグ | ✕:✕ |
ハイレゾ | 〇 |
ワイヤレス充電 | ✕ |
イヤホンジャック | ✕ |
防水:防塵 | IP68 |
耐衝撃 | 〇 |
スピーカー | モノラルスピーカー |
生体認証 | 顔認証センサー 指紋認証センサー |
「arrows N」の機能面では、
- テザリング
- おサイフケータイ
- ハイレゾ
- イヤホンジャック
- 防水:防塵
- 耐衝撃
には対応していますが、
- ワンセグ:フルセグ
- ワイヤレス充電
には対応していません。
arrows N のベンチマークスコア
これは、実際に計測した「arrows N」のベンチマークスコアですが、
- antutu 9.4.4:405,637
- Geekbench 5.5.1:シングル 670 / マルチ 1,911
- Geekbench Compute:1,398
になりました。
ハイスペックスマホに比べると半分くらいのスコアになっており、処理能力はそれなりに抑えられている点に注意です。
arrows N の電池もち(バッテリー持ち)
「arrows N」には4,600mAhのバッテリーが搭載されていますが、電池持ちはすごく良いです。
試しに充電して100%の状態から120Hz設定で、
- You Tube
- ゲーム
- ネット検索
- 音楽
を2時間ずつ使ってみましたが、24時間経過して電池残量は47%も残っていました。
この電池持ちはミドルスペックスマホの中では間違いなくトップレベル。
120Hzディスプレイとしては最強クラスの電池持ちなので、なるべく電池持ちが良いスマホがほしいて人も安心して使えると思います。
arrows N のカメラレビュー
arrows N のカメラスペック詳細 | ||
カメラ画素数 | 広角カメラ:約5,030万画素 超広角カメラ:約810万画素 内側カメラ:約1,240万画素 |
|
センサーサイズ / F値 | 広角カメラ:1/1.5インチ / 1.88 超広角カメラ:1/4.0インチ / 2.2 内側カメラ:1/3.0インチ / 2.24 |
|
ISO感度(最大) | 静止画:ISO8,000 動画:ISO6,400 |
|
オートフォーカス | 静止画:○ 動画:○ |
|
ズーム(最大) | 静止画:デジタル8倍 動画:デジタル8倍 |
|
手ブレ補正 | 外側カメラ | 静止画:電子式 動画:電子式 |
内側カメラ | 静止画:電子式 動画:電子式 |
「arrows N」のアウトカメラは、
- 広角
- 超広角
という構成のデュアルカメラになっていて、
撮影モードには、
- 写真
- ビデオ
- Photoshop Express モード
- ポートレート
- Super Night Shot
- Live Auto Zoom
- スロモ動画
- マニュアル
- AR サイズチェッカー
- Adobe Scan
- Google Lens
があります。
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実際に「arrows N」で撮影してみましたが、昼間の写真は日陰だと綺麗に撮れるんですが、日向だと実際の見た目よりも明るくしすぎてしまっていて使いにくい印象を受けました。
かなり見た目に近い雰囲気の写真が撮れる「AQUOS sense7」と比べてみるとこんな感じ。
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「arrows N」の写真は明るくしすぎてうすボケた雰囲気になってしまっているのが確認できると思います。
ただし「arrows N」には、Adobeの技術により写真が自動でプロ並みに仕上がるという「Photoshop Express モード」が搭載されているので、そちらで撮影したらかなり改善しました。
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「Photoshop Express モード」で撮影すればかなり高画質に撮影できるものの、ライバルメーカーはこういったAIでの改善を実機で行っているのに対して、「arrows N」は外部アプリに頼らなくてはならないっていう部分では残念ですね。
また、「Photoshop Express モード」は撮影スピードが凄く遅いという大きなデメリットがある点にも注意。
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ズームは最大で8倍までのデジタルズームに対応していますが、ぜんぜんピントが合わなくなるので使い勝手は最悪。
2倍でさえピントが合わないくなるのは不具合を疑うレベルなんですけど、ミドルスペックのデジタルズームに期待している人なんてほとんどいないと思うので気にしないことにします。
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夜の撮影は専用の「スーパーナイトショット」っていうモードが用意されていて、かなり高画質に撮影する事ができますが、若干白飛びしがちでライバル機を超えるまでには至っていません。
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特にこういう光が多い場所では、実際の雰囲気をそこなってしまっているのが残念ですね。
全体的には綺麗に撮れることのほうが多いので惜しいなって感じです。
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料理の写真はカラーバランスが少し濃くなり明るさをプラスしたような調整になっていて、美味しそうに撮れるので使いやすかったです。
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特に、このパンケーキなんかは「AQUOS sense7」と比べても自然に明るく撮影できていますよね。
※クリックで拡大できます
ポートレートは精度が良く、ボケの強度のレバーで感覚的に調整できて使いやすかったです。
食事のシーンではテーブルの上にあるものまでぼかしてしまうので完璧とまではいきませんが、ミドルスペックとしては十分な性能だと思います。
動画は広角と超広角で、
- フルHD
- HD
- 1:1
の動画サイズに対応していますが、綺麗に撮れるのは超広角のフルHD30fpsのみでした。
広角にすると手ぶれ補正こそしっかり機能しているものの、解像感が低いのと、常に画面がチラついていているのとで画質は一気に落ちるので使い勝手は微妙。
また、4K動画が撮れないだけでなく、60fpsに対応していない点にも注意です。
arrows N の良いところ(メリット)
120Hzディスプレイ
「arrows N」のディスプレイは120Hzのリフレッシュレートに対応しています。
リフレッシュレートっていうのは画面の滑らかさを表す数値なんですが、通常ミドルスペックであれば60Hzが当たり前、90Hzなら凄いと言われるなか、120Hzに対応しているのは「arrows N」の大きな特徴だと思います。
リフレッシュレートとは
「リフレッシュレート」とは、1秒間にどれくらい画面が更新されるかを表す数値です。
「arrows N」のリフレッシュレートは120Hzなので、1秒間に120回画面が更新されるという事。1秒間に更新される回数が多ければ多いほど滑らかな画面になります。
便利機能が豊富
「arrows N」は、
- おサイフケータイ
- SDカード
- 防水:防塵
- 指紋認証
- マスクに対応した顔認証
のほかに、米国国防総省が規定するMIL規格に準拠した耐衝撃も備わったスマホになっています。
また、泡タイプのハンドソープで丸洗いできるほか、アルコール除菌にも対応しているので、雑菌の塊と言われるスマホを常に清潔に保ちたいって人におすすめです。
電池持ちが良い
「arrows N」には4,600mAhのバッテリーが搭載されていますが、電池持ちはすごく良いです。
試しに充電して100%の状態からリフレッシュレート120Hz設定で、
- You Tube
- ゲーム
- ネット検索
- 音楽
を2時間ずつ使ってみましたが、24時間経過して電池残量は47%も残っていました。
この電池持ちはミドルスペックスマホの中では間違いなくトップレベル。
120Hzディスプレイとしては最強クラスの電池持ちなので、なるべく電池持ちが良いスマホがほしいって人も安心して使えると思います。
環境にやさしい設計
「arrows N」には、リアパネルやスロットキャップなどには再生プラスチックを、カメラフレームやサイドフレームには再生アルミニウムが採用されていて、部品総重量に対するリサイクル素材の割合が約67%になっています。
また、企画・設計から製造までを一貫して国内で実施。
製造工程には再生可能エネルギーが使われ、箱にはFSC認証紙やバイオマスインキを採用するなど、徹底して環境にやさしい設計になっています。
arrowsの独自機能が便利
「arrows N」にはarrowsでしか使えない便利機能が豊富に用意されているので、その中でも特に使っていて便利だと思ったものを紹介します。
FAST Appドライブ
よく使うアプリや起動に時間がかかるアプリを登録しておくことで、通常よりも早く起動させることができる機能。ここにアプリを登録しておけば、タスクキルできないので起動がかなり速くなります。
FASTフィンガーランチャー
あらかじめ特定の指の指紋を登録しておくことで、登録しておいたアプリをロック解除と同時起動してくれる機能。また、「FAST Appドライブ」と組み合わせることができるので、さらに起動を速くすることもできます。
プライバシーモード
アプリ表示、通知、着信の表示、非表示をワンタッチで行える機能。例えば、普段使っているアプリを家族に見られたくないって時は「プライバシーモード」を使えば家に入る直前に簡単に隠すなんて事ができます。
アプリダブルロック
指定したアプリのみ、顔と指紋の両方を認証しないとロックを解除できなくする機能。この機能をオンにしておけば、勝手にアプリ内を覗かれる可能性をかなり減らす事ができます。
迷惑電話対策機能
電話帳に未登録の電話番号からの着信が自動で録音される機能。相手には録音する旨をガイダンスで伝えるので、悪意のある発信者への牽制にもなります。
arrows N の悪いところ(デメリット)
ボッタクリ価格
現在発売されているスマートフォンには例外はあれど基本的には、
- ハイスペック
- ミドルスペック
- エントリーモデル(スタンダードモデル)
の3種類があり、そのほとんどは搭載されているSOC(システム・オン・チップ)によって識別されています。
「arrows N」には「Snapdragon 695」が搭載されているのでミドルスペックということになりますが、本体価格は98,780円。
同じSOCを搭載しているドコモのミドルスペックと比べてみると、
- AQUOS sense7:54,230円
- Xperia 10 IV:53,152円
- Galaxy A53:59,400円
ハイスペックモデルの「Galaxy S22」が現在94,512円で買えてしまうことを考えても、まさに「arrows N」はボッタクリ価格になっているわけです。
※「arrows N」発売日時点の価格です
「arrows N」は残価設定が異常に高く設定されているので、「いつでもカエドキプログラム」を使って2年でドコモに返却する事が前提であればそこまで高くはありませんが、一括で購入する習慣のある人は注意して下さい。
動作がモッサリする事がある
これは「arrows N」に限った話ではなく「Snapdragon 695」を搭載した機種全般に言えることですが、この端末も例にもれず、普段使いでも動作が重い時がたまにあり、ゲームプレイ時には画面がカクついたり動作がワンテンポ遅くなります。
すごく遅くてストレスってわけではありませんが、やはりハイスペック機のようなサクサク動作する使用感とは異なるので、特にゲームをする人は「ミドルスペックだから」と割り切れる人でないと後悔するかもしれません。
カメラの性能がいまいち
「arrows N」には、
- 広角
- 超広角
という構成のデュアルカメラが搭載されていますが、性能はあまり良くありません。
けして悪くはないんですが、同じ価格帯のライバル機と比べて使い勝手が良いかと言われれば微妙。
特に、他メーカーでは独自機能で行っているAI補正をAdobeの外部アプリ「Adobe Photoshop Express」に頼っている分撮影スピードが遅いのと、ズームのピントが合いづらいこと、また「スーパーナイトショット」が白飛びしがちというのが残念なポイントでした。
動画も、まともに撮れるのは超広角のフルHD30fpsのみなので、全体的にカメラ性能は作りがあまい印象があります。
スピーカーの性能が低い
「arrows N」は本体下部にひとつだけスピーカーを搭載したモノラル仕様ですが、モノラルなので当然のことながら音質は良くないです。
またライバル機と比べて最大音量が小さいのも気になりました。
実際に「AQUOS sense7」と聴き比べてみると、「AQUOS sense7」よりも音割れが少なくて音質的には「arrows N」のほうが良いですが、所詮はモノラルなので音質よりも音量が大きいほうが使い勝手は良いと思います。
arrows N の評価と感想まとめ
人気 ★★★☆☆☆
処理能力 ★★★☆☆☆
写真性能 ★★★☆☆☆
動画性能 ★★☆☆☆☆
電池持ち ★★★★★★
画面の綺麗さ ★★★★☆☆
スピーカー ★★☆☆☆☆
価格の安さ ★☆☆☆☆☆
ココがおすすめ
- 環境にやさしい設計
- 最強レベルの電池持ち
- arrowsの独自機能が便利
- リフレッシュレート120Hz対応
ココがいまいち
- 本体価格が高すぎる
- カメラの性能がいまいち
- 動作がモッサリする事がある
- スピーカーの音質が良くない