ソニーは2020年2月24日にYouTubeのXperia公式チャネルにて最新スマートフォンとなる、
- Xperia 1 II
- Xperia PRO
- Xperia 10 II
の3機種を発表しました。
Xperia 1 II(エクスペリア ワン マークツー)は一般向けに発売されるフラッグシップモデルで、「Xperia PRO」はデジタル一眼カメラと組み合わせて使う事が想定されたプロ仕様モデル、「Xperia 10 II」はスペックと価格を下げたミドルスペックスマホになっています。
この記事では、「Xperia 1 II」を 実際に購入してカメラの性能や使用感などを徹底レビュー しています。
Xperia 1 II のカラーバリエーション
「Xperia 1 II」のカラーバリエーションは、
- ブラック
- ホワイト
- パープル(ドコモ限定)
の3色。
Xperiaシリーズで人気のカラー「パープル」はドコモ版のみの限定モデルになっています。
ブラック
ホワイト
パープル
Xperia 1 II のスペック詳細
Xperia 1 II | Xperia PRO | Xperia 10 II | |
CPU | Snapdragon 865 5G | Snapdragon 865 5G | Snapdragon 665 |
外側カメラ | 約1,220万画素×3 | 約1,220万画素×3 | 約1,200万画素 約800万画素×2 |
内側カメラ | 約800万画素 | 約800万画素 | 約800万画素 |
ディスプレイ | 約6.5インチ(3,840×1,644) 4K 有機ELディスプレイ |
約6.5インチ(3,840×1,644) 4K 有機ELディスプレイ |
約6.0インチ(3,840×1,644) FHD+ 有機ELディスプレイ |
RAM / ROM | 8GB / 128GB | 8GB / 512GB | 4GB / 64GB |
SDカード | microSDXC(最大1TB) | microSDXC(最大1TB) | microSDXC(最大1TB) |
電池容量 | 4,000mAh | 4,000mAh | 3,600mAh |
高さ×幅×厚さ | 約166x72x7.9(mm) | 未発表 | 約157x69x8.2(mm) |
重量 | 約181g | 未発表 | 約151g |
「Xperia 1 II」にはクアルコムの最新CPU「Snapdragon 865 5G」が搭載され、RAMは8GB。
ディスプレイには6.5インチの4K 有機ELディスプレイが採用され、電池には4,000mAhの大容量バッテリーが搭載されています。
アウトカメラは前作「Xperia 1」と同じ、
- 1,220万画素:標準
- 1,220万画素:超広角
- 1,220万画素:望遠
という構成ですが、新たにToFカメラ(被写体との距離を測るための補助的なカメラ)が搭載された事により、暗所でも高速でピントが合わせやすくなるほか、自然で精度の高い背景ボケを演出できるように進化しました。また、広角カメラのみですが、センサーサイズが1/2.6型から1/1.7型に大きくなっていて、暗所での撮影が大幅に強化されています。
本体サイズは前作「Xperia 1」とほぼ同じ。今期もXperiaシリーズは21:9の縦長デザインのみとなりました。
Xperia 1 II の便利機能
Xperia 1 II の便利機能 | |
テザリング | 〇 |
おサイフケータイ | 〇 |
ワンセグ:フルセグ | 〇:〇 |
赤外線通信 | ✕ |
ハイレゾ | 〇 |
ワイヤレス充電 | 〇 |
イヤホンジャック | 〇 |
Bluetooth | 〇 |
防水:防塵 | IPX5/8 : IP6X |
耐衝撃 | ✕ |
スピーカー | ステレオスピーカー |
生体認証 | 指紋認証センサー |
つづいて便利機能ですが、他メーカーでは外される事が多い「ワンセグ / フルセグ」もしっかりと搭載され、ほぼ全ての機能が使用可能な「全部入り」機種になっています。
前作からの変更点はイヤホンジャックが搭載された事と、ワイヤレス充電に対応したこと。特にイヤホンジャックの復活は喜んでいる人も多いんじゃないでしょうか。
顔認証が搭載されないのは残念ですが、機能面でも確実に進化している印象です。
Xperia 1 II のカメラ性能レビュー
「Xperia 1 II」のアウトカメラには、
- 標準カメラ
- 超広角カメラ
- 望遠カメラ
の3つのカメラが搭載されていて、ユーザーはボタンひとつで簡単に撮影するレンズを切り替える事ができます。普段は標準カメラで撮影をして、さらに全体的な写真が撮りたい場合に超広角カメラに切り替える感じですね。
撮影モードは、
- 写真
- 動画
- Photo Pro
- Google Lens
- スローモーション
- ポートレートセルフィー
- クリエイティブエフェクト
- パノラマ
の8種類。
「Xperia 1 II」の標準カメラにはこれまでより大きい1/1.7型センサーが採用されていて、さらにレンズにはドイツの有名なカメラレンズメーカーCarl Zeiss(カール ツァイス)製のものが採用されていて、T*(ティースター)コーティングにより、フレアやゴーストが少ない高画質な写真が撮れるように進化しています。
昼間の撮影は自然なカラーバランスで綺麗
これは「Xperia 1 II」で撮影した写真ですが、昼間の撮影ではかなり高画質な写真が撮れました。
シーンを識別するAIを搭載したスマホで撮影すると、空はより蒼く、樹々はより緑色が強調された写真になる事が多いですが、Xperiaシリーズのカメラは、良くも悪くも 見た目とほぼ同じカラーバランスの写真になる のが特徴です。
ちなみに、AIの影響が強い「Galaxy S20」と比べてみると、
※クリックで拡大できます
これくらい違います。
「Galaxy S20」はAIによってより鮮やかに撮れてますが、肉眼で見た景色に近いのは「Xperia 1 II」なので、好みが分かれそうですよね。
次に、超広角カメラでも撮影してみましたが、
※クリックで拡大できます
歪みの少ない高画質な写真が撮影できました。同じ立ち位置で撮影してもレンズによって違う景色になるのは楽しいですね。
昼間の撮影は、標準、超広角ともに自然なカラーバランスで高画質な写真が撮れると感じました。
夜の撮影は高画質な写真が撮れる
続いて夜の撮影ですが、ライトの多い場所でも白飛びの少ない高画質な写真が撮れました。
ただし、ライトの当たっていない部分など、明かりが少ない場所では実際よりも暗い印象になってしまう のが残念な部分ですね。
試しに、同時期に発売された「Galaxy S20」や「AQUOS R5G」と比べてみましたが、
※クリックで拡大できます
「AQUOS R5G」に比べれば白飛びが抑えられ綺麗に撮れてはいるものの、夜景撮影が得意な「Galaxy S20」と比べてしまうと「Xperia 1 II」は全体的に少し暗く、特に右端のビルが黒つぶれしてしまっているのが確認できると思います。
今後、夜に強い「低照度撮影」という撮影モードが追加される予定なので、これよりも画質は向上するかもしれませんが、現時点では最高レベルとまではいかないですね。
ズーム倍率はわかりづらくて不便
※クリックで拡大できます
「Xperia 1 II」のアウトカメラでは、標準、超広角、望遠のそれぞれのカメラで3倍までのデジタルズームに対応しています。
標準カメラの3倍ズームが望遠カメラの1倍とほぼ同じになっているため、望遠カメラで3倍ズームすれば標準カメラの9倍までズームできるという事ですね。
実際に撮影してみましたが、ズームはすればするほど画質が粗くなってしまうので、綺麗に残したいならズームは使わないのがおすすめ。
他機種ではズーム倍率を上げるだけで適切なレンズに自動で切り替えてくれる事を考えると、「Xperia 1 II」のズームの設計はわかりづらくて不便 に感じました。
料理の写真は自然で綺麗に撮れる
次に料理の写真です。
上の写真は実際に「Xperia 1 II」で撮影したチキンプレートの写真ですが、美味しそうに撮れていますよね。
料理の写真も昼間の撮影と同じく、自然なカラーバランスで「見たまま」の印象に少しだけ明るさをプラスしたような仕上がり になるので、かなり使いやすい印象を受けました。
この写真は店内が薄暗い環境での撮影で暗い仕上がりにならないか心配でしたが、明るく撮影できていますよね。
前作「Xperia 5」のカメラは薄暗い環境に弱く使いにくかったんですが、しっかりと進化しているのが実感できました。
試しに、同時期に発売された「Galaxy S20」や「AQUOS R5G」と比べてみましたが、
※クリックで拡大できます
「Xperia 1 II」の写真は見たまま、「Galaxy S20」は実際よりも明るく濃いカラーバランスの写真になっていて、「AQUOS R5G」は明るさと鮮やかさがプラスされていたりなど、各機種のカメラの特徴が反映された写真が撮れました。
ポートレートは綺麗だが撮影にクセがある
「Xperia 1 II」のカメラには被写体を強調させて背景をぼかす撮影モードが用意されていて、精度の高い背景ボケ写真を撮る事ができます。
ソニーの独自技術「瞳オートフォーカス」で一瞬でピントが合うので、特にポートレート撮影に最適ですね。
ただし、撮影する際に「被写体から離れて下さい」っていうエラーメッセージが頻繁に表示されて、他のハイエンドモデルに比べるとかなり撮影しづらい ので注意。
しかもこのエラーメッセージは適切な距離をとっていても表示される事があり、そんな時はこの表示が出ていても撮影してみるとしっかり撮れていたりと、ソフトウェアの不安定さが気になりました。
背景ボケ写真は人物以外にも対応していて精度は良いので、今後のアップデートでぜひソフトウェアの改善をしてもらいたいところですね。
Xperia 1 II の特徴と使用レビュー
Xperia 1 II のデザインとボタン配置
「Xperia 1 II」にはフラットなデザインとメタルフレームが採用されていて、背面には、
- 超広角カメラ
- 望遠カメラ
- 3D iToFセンサー
- 標準カメラ
が並んでいて、カメラの上に「フラッシュ/フォトライト」と「RGBC-IR センサー」、横に「おサイフケータイ」があります。
ディスプレイ面には画面上部に左から、
- フロントカメラ
- 受話口/スピーカー
- 近接/照度センサー
- 通知LED
が並んでいて、画面下部にスピーカーがあります。
右側面には右から、
- 音量/ズームキー
- 電源キー/指紋センサー
- カメラキー
が並び、
左側面には「SIMカードトレイ」のみ。
本体上部には「セカンドマイク」と「イヤホンジャック」。
本体下部には左から、
- 送話口/マイク
- USB Type-C接続端子
が並んでいます。
背面の質感はツルツルしていて高級感があり、指紋も目立たない設計になっているのでケースを使用しなくても使いやすいと思います。
やっぱり縦長デザインは好みが分かれる
「Xperia 1 II」では、前作「Xperia 1」と同じく21:9の縦長デザインが採用されています。
動画を観ると映画と同じアスペクト比になるので没入感があって楽しいですが、ほとんどのスマホ機種では18:9の画面比率が採用されているため、縦に長い印象が強くデザインは好みが別れると思います。
同じサイズのスマホに比べると 横幅が狭くなっている分本体重量も軽くなっていて片手で操作しやすい ですが、本体サイズに不安がある人は1度手にとって確認してみたほうが良いかもしれません。
4K&90Hzディスプレイで超美麗な映像を楽しめる
「Xperia 1 II」には2020年夏モデルでは最高画質となる4K解像度に対応したディスプレイに加え、リフレッシュレート90Hz相当のクリアな映像表示ができるように進化しています。
実際に4Kに対応した動画を観てみましたが、超高画質な映像を楽しめました。
映像が全体的にクリアになっているほか、色も濃く表示されていて、「フルHDと4Kはこんなに違うのか」って実感できるレベル なので、スマホで動画を観る習慣がある人におすすめですね。
ただし、90Hz表示のほうは体感では違いを実感する事はできなかったので、オマケ程度に考えたほうが無難だと思います。
リフレッシュレートとは
「リフレッシュレート」とは、1秒間にどれくらい画面が更新されるかを表す数値です。
「Xperia 1 II」のリフレッシュレートは90Hzなので、1秒間に90回更新されるという事。これまでの機種では60Hzで表示される事が多かった為、以前に比べて1.5倍も滑らかな映像を楽しむ事ができます。
指紋認証は優秀だが顔認証もほしい
「Xperia 1 II」には本体の右側に電源ボタンと一体化した指紋センサーが配置されていますが、ロック解除に失敗する事はほとんどなく、精度はかなり優秀だと感じました。
「Xperia 5」では認証に失敗する事が度々ありストレスだっただけに、しっかり改善されている印象ですね。
ただし、現在発売されているandroidスマホのハイエンドモデルでは「顔認証」と「指紋認証」の2つの生体認証が搭載されている機種が多い中、やっぱり指紋認証だけでは不便 な印象を受けました。
これまではGoogleが提供しているSmart Lockを使用すれば顔認証を使用する事ができましたが、「Xperia 1 II」では利用できないようなので、ぜひ次回作以降で改善してもらいたいポイントのひとつです。
専用機能がたくさんあってゲームに最適
「Xperia 1 II」にはゲームに集中できる専用機能がたくさんあって、スマホでゲームをプレイする習慣のある人に最適です。
専用機能は、着信通知やアプリの通知を非表示にして誤タップを防いでくれたり、各種機能の無効化やタッチエリアの最適化などが用意されているんですが、個人的に気に入ったのは充電器を繋ぐだけで直接電源を供給してくれる「HSパワーコントロール」ですね。
スマホは充電しながらゲームをプレイしているとバッテリーの劣化が激しくなると言われていますが、「HSパワーコントロール」なら バッテリーを通さず直接本体に電源を供給してくれる ので、バッテリーの消耗を気にせずにゲームができるのは嬉しい機能だと感じました。
今作からイヤホンジャックも復活した事で充電器とイヤホンを同時に使用できるのも使いやすいです。
電池もちが良くて使いやすい
「Xperia 1 II」には4,000mAhの大容量バッテリーが搭載されていますが、電池もちはかなり良いと感じました。
例えば、YouTubeで動画を2時間28分、Amazonプライムで動画を57分、ネット検索を1時間44分、パズルゲームを51分、音楽を1時間37分使ってもフル充電から34時間以上も使う事ができました。
画質はクリエイターモードで、残像低減設定もオンにした状態でこれだけ電池がもってくれれば使いやすいですよね!
前作「Xperia 5」と比べてもかなり改善しているので、電池もちを気にしている人でも快適に使用できると思います。
※電池持ちの印象には個人差があります
スピーカーは厚みのある高音質な音楽が楽しめる
「Xperia 1 II」には本体の上下に1つずつスピーカーが搭載されているステレオスピーカーが採用されていますが、「Xperia 5」では本体下部にスピーカーが配置されていたのに対して、「Xperia 1 II」では両方のスピーカーが前面を向くように本体下部のスピーカーはディスプレイ下部に変更されました。
操作中にスピーカーを指でふさいでしまうということもなくなるので、地味に嬉しい変更点ですね。
音質は、最大音量は他のハイエンドモデルと比べると小さめなものの、全体的に厚みのある高音質な音楽が楽しめました。
Xperia 1 II と Xperia PRO との違い
Xperia 1 II は5Gのミリ波帯に非対応
「Xperia 1 II」と「Xperia PRO」は両機種ともに5Gに対応したスマートフォンですが、「Xperia 1 II」が対応しているのはsub-6(6GHz未満の周波数帯)のみ で「ミリ波帯」と呼ばれる周波数帯には対応していません。
5Gで使われる周波数帯は、大きく分けて3.6~6GHz(sub-6)と30~300GHz(ミリ波)の2つがありますが、両方の周波数帯に対応しているのは「Xperia PRO」のみという事になります。
Xperia PRO のROMは512GB
「Xperia PRO」のストレージ容量は512GBで、128GBの「Xperia 1 II」に比べてかなり大きくなっています。
プロの現場で使用する事が想定されているため、その分ストレージも大容量になっていますね。
Xperia PRO にはHDMIの入力端子がある
「Xperia PRO」には「Xperia 1 II」にはないHDMIの入力端子があり、レンズ交換式デジタル一眼カメラやカムコーダーのモニターとして利用する事ができます。
映像を取り込む場合はUSB-C経由となり、5G通信で転送する事を想定しているようですね。
Xperia 1 II のベンチマークスコア
これは、実際に計測した「Xperia 1 II」のベンチマークスコアですが、
- Antutu 8.3.6:546,339
- Geekbench 5.1.1:シングル 902 / マルチ 3,274
- Geekbench Compute:2,964
になりました。
2020年夏モデルのandroidスマホとしては 最高レベルの処理能力 になっていて、どんなゲームでもサクサク快適にプレイできると思います。
Xperia 1 II の付属品
「Xperia 1 II」に同梱されている付属品は「テレビアンテナケーブル」のみ。
充電器は同梱されていないので、持っていない場合にはあらかじめ購入しておきましょう。
Xperia 1 II の発売日と本体価格
ドコモ版 Xperia 1 II SO-51A の発売日と本体価格
ドコモ版「Xperia 1 II SO-51A」の発売日は2020年6月18日で、本体価格は123,552円(税込)。
36回払いにした場合の毎月の請求額は3,432円で、「スマホおかえしプログラム」に加入する事で最大で3分の2の負担額となる82,368円(税込)になります。ただし、「スマホおかえしプログラム」は特典の利用時に購入した「Xperia 1 II SO-51A」の本体を ドコモに返却する必要がある ので注意。
また、5G対応機種を購入する事で「5G WELCOME割」が自動適用されるので、機種変更(契約変更)は5,500円割引割引、新規契約(のりかえ含む)なら20,000ptのdポイントが還元 されます。
au版 Xperia 1 II SOG01 の発売日と本体価格
au版「Xperia 1 II SOG01」の発売日は2020年5月22日で、本体価格は133,600円(税込)。
24回払いにした場合の毎月の請求額は3,440円で、「かえトクプログラム」を利用する場合は実質79,120円にする事ができます。ただし、「かえトクプログラム」は特典の利用時に購入した「Xperia 1 II SOG01」を auに返却する必要がある ので注意して下さい。
Xperia 1 II の評価と感想まとめ
ココがおすすめ
- 電池もちが良い
- 厚みのある高音質な音楽が楽しめる
- 専用機能がたくさんあってゲームに最適
- ディスプレイの綺麗さは世界トップレベル
ココがいまいち
- 顔認証がないのは不便
- 縦長デザインは好みが分かれる
- カメラのソフトウェアが不安定
- 90Hz相当の画面表示はほとんど実感できない